日EU・EPA輸入申告時に税関に提出する貨物の原産地にかかる説明(資料)について
日EU・EPAに基づく特恵待遇を要求し、輸入申告する場合の原産地手続に関する取扱いについては、2019年3月14日に周知文を発出したところですが、当該取扱いについて改めて周知するとともに、本年8月1日から、下記の2.具体的な取扱いのとおり一部運用を簡略化しますので、以下にご留意ください。
なお、本年3月に公表した「『自己申告制度』利用の手引き」については、本周知文の内容に合わせて改訂中であり、改訂作業が終了次第、税関HPに公表いたします。
【11月17日からの原産地識別コードの具体的な入力内容はこちら。(2. (1) 2.関係 )】[PDF:157KB]
1.概要
輸入申告において、日EU・EPAに基づき特恵待遇を要求する輸入者は、同EPA第3・16条3の第2文に規定されている通り、貨物が同EPAの要件を満たすか否かに関する説明(資料)を、輸入申告の一部として税関へ提供することとされています。当該説明(資料)は原産地に関する申告(以下「輸出者自己申告」という。)若しくは輸入者の知識(以下「輸入者自己申告」という。)の申告文以外に提出する、同EPA上の原産品(以下「原産品」という。)であることに係る追加的な説明(資料)を指します。
ただし、当該説明(資料)については、同EPA第3・16条2(a)(輸出者自己申告)により特恵待遇を要求する場合、輸入者が提供可能な範囲において行うことが求められているのであって、輸出者自己申告の申告文以外の入手できない説明(資料)まで提供する義務を負っているものではありません。この場合、輸出者(生産者を含む。以下同じ。)は、同EPA第3・17条1に基づき作成する輸出者自己申告及び提供する情報の正確性について責任を有します。
輸入申告時における説明の要求に対し、輸入者は輸出者自己申告を作成した輸出者から情報を得るよう依頼されることはありません。また、輸出者は輸入申告時にそのような情報を提供する義務はありません。
更に、輸出者自己申告の申告文以外の説明(資料)が提供できない旨を示した輸入者は、当該追加的な説明(資料)が提供できない理由を税関に説明する必要はありません。
このような場合、原産品であることに係る追加的な説明(資料)が提供できないことをもって、特恵待遇の要求が税関から拒否されたり、その適用が認められなかったりするものではありません。
2.具体的な取扱い
原産品であることに係る追加的な説明(資料)が提供できない場合について、下記(1)の通り取扱うこととします。また、当該追加的な説明(資料)を提供する場合についても、下記(2)のとおり、原産品であることを説明する際の記載事項を簡略化します。
(1)原産品であることに係る追加的な説明(資料)が提供できない場合
輸出者自己申告に基づいて特恵待遇を要求する輸入者であって、原産品であることに係る追加的な説明(資料)を税関に提供できない者は、以下の通り、提供できない旨をNACCS上で入力できます。なお、この場合、当該追加的な説明(資料)の提供は不要です:
- 本年8月1日からの暫定的な運用
NACCSでの輸入申告の記事欄(税関用)に、下記のとおり文言を入力する。(和文若しくは英文で入力する)
日本語の場合:私は産品が原産品であることに係る追加的な説明は提供できません。
英語の場合:I cannot provide an additional explanation on the originating status of the product. - 本年12月(予定)からの運用
NACCSでの輸入申告時に、原産地識別コードを入力する。(詳細については別途周知)
【原産地識別コードの具体的な入力内容はこちら。(11月17日からの取扱い)】[PDF:157KB]
(2)原産品であることに係る追加的な説明(資料)を提供する場合
原産品であることに係る追加的な説明(資料)を税関に提供することとした場合には、以下のように取り扱われます。
- 輸入者による特恵待遇の要求が「輸出者自己申告」に基づく場合:
原産品であることを説明する際は、下記事項を記載してください。この場合、輸入者は別添様式の「原産品申告明細書」を使用することが可能です。
(イ)仕入書の番号及び発行日(仕入書が複数ある場合に、原産品が含まれる仕入書について記載して下さい。)
(ロ)原産性の基準を満たすことの説明
(ハ)説明(資料)作成者
なお、輸出者は同EPA第3・17条1に基づき作成した輸出者自己申告及び提供する当該情報の正確性について責任を有します。 - 輸入者による特恵待遇の要求が「輸入者自己申告」に基づく場合:
原産品であることを説明する際は、下記事項を記載してください。この場合、輸入者は別添様式の「原産品申告明細書」を使用することが可能です。
(イ)仕入書の番号及び発行日(仕入書が複数ある場合に、原産品が含まれる仕入書について記載して下さい。)
(ロ)原産性の基準を満たすことの説明
(ハ)説明(資料)作成者
なお、輸入者自己申告は、輸入者が同EPA第3・18条に基づき産品が原産品であること及び同EPAに定める要件を満たすことを示す情報を入手していることが前提となっています。
3.留意事項
- 同EPA第3・16条3の第2文に基づき、税関は輸入申告時に追加的な説明(資料)を求めることができますので、上記1.の記載に従って、追加的な説明(資料)が入手できる場合は、輸入申告時に提出してください。
- なお、産品が原産品であるかどうかの同EPA第3・21条及び第3・22条に基づく確認は、リスク評価により、必要に応じ、輸入申告時又は輸入許可後に行われます。その結果、同EPA第24条に基づき、特恵税率の適用が認められないことがあります。